- ✓ 複数の診療科を持つクリニックのGoogleビジネスプロフィール(GBP)設定は、1プロフィールか複数プロフィールかで集患効果が大きく変わります。
- ✓ 各診療科の独立性、検索ニーズ、競合状況を分析し、費用対効果の高い戦略を選択することが重要です。
- ✓ 医療広告ガイドラインを遵守しつつ、MEO対策を強化することで、地域からの新規患者獲得を最大化できます。
複数の診療科を持つクリニックにとって、Googleビジネスプロフィール(GBP)の最適な設定方法は、集患戦略の成否を分ける重要な要素です。1つのGBPプロフィールに全ての診療科をまとめるべきか、それとも診療科ごとに複数のプロフィールを作成すべきか、多くの院長先生や事務長が悩まれるポイントです。
本記事では、数百の医療機関のマーケティング支援実績を持つコンサルタントとして、その判断基準と具体的な運用戦略を、費用対効果の観点から徹底解説します。地域での視認性を最大化し、新規患者獲得に繋げるための実践的なアプローチを提示します。
Googleビジネスプロフィール(GBP)とは?なぜ医療機関に重要なのか?

Googleビジネスプロフィール(GBP)とは、Google検索やGoogleマップ上に表示されるビジネス情報のことです。医療機関にとっては、クリニック名、住所、電話番号、診療時間、Webサイト、写真、口コミなどが一覧で表示され、患者さんがクリニックを探す際に最も参照される情報源の一つです。
- Googleビジネスプロフィール (GBP)
- Googleが提供する無料ツールで、企業や店舗などのビジネス情報をGoogle検索やGoogleマップ上に表示・管理できます。医療機関にとっては、地域での視認性向上と新規患者獲得に不可欠なデジタル資産です。
- MEO (Map Engine Optimization)
- Googleマップ上での検索順位を最適化する施策の総称です。GBP情報の充実、口コミ管理、投稿機能の活用などが含まれ、地域密着型のビジネス、特に医療機関にとって非常に重要です。
近年、患者さんのクリニック探しは「〇〇駅 胃カメラ」「〇〇市 皮膚科」といった地域名と診療内容を組み合わせた検索が主流となっています。このような検索において、GBPは検索結果の上位に表示されやすく、特にGoogleマップの検索結果では、SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)よりも優先される傾向にあります。このGoogleマップ上での検索順位を最適化する施策をMEO(Map Engine Optimization)と呼びます。
弊社がサポートした内科・消化器内科クリニックでは、MEO対策を強化した結果、月間GBP閲覧数が3ヶ月で150%増加し、Webサイトへのアクセス数も20%向上しました。多くの医療機関で見落とされがちですが、GBPは集患に直結する重要な要素です。
GBPが医療機関にもたらす具体的なメリットとは?
- 視認性の向上: 地域検索で上位表示され、潜在患者の目に触れる機会が増えます。
- 信頼性の構築: 口コミや写真、詳細な情報提供により、患者さんの安心感を高めます。
- 直接的な行動喚起: 電話予約、Webサイトアクセス、ルート案内など、患者さんが次の行動に移りやすい導線を提供します。
- 競合優位性: 競合クリニックがMEO対策を十分に行っていない場合、GBPの最適化は大きなアドバンテージとなります。
複数の診療科を持つクリニックのGBP設定:1プロフィール vs 複数プロフィール?
複数の診療科を標榜するクリニックが直面する最大の疑問は、「GBPをどのように設定すべきか」という点です。この選択は、検索結果での表示のされ方、患者さんのクリニックへの理解度、ひいては集患数に大きく影響します。
実際のコンサルティング現場では、「内科と皮膚科、両方で集患したいが、どうすれば効率的か」という課題を抱える院長先生が多くいらっしゃいます。この問いに対する答えは、クリニックの状況や目標によって異なりますが、一般的には以下の2つの選択肢が考えられます。
選択肢1: 1つのGBPプロフィールで全ての診療科を管理する
これは最もシンプルな方法で、クリニック全体として1つのGBPを作成し、そこに全ての診療科(例: 内科、皮膚科、小児科など)を「サービス」として登録する形です。メインカテゴリは最も集患したい、または代表的な診療科を設定します。
- メリット:
- 管理の容易さ: 1つのプロフィールを更新するだけで済むため、運用コストが低い。
- 情報の一元化: 患者さんがクリニック全体の情報を一箇所で確認できる。
- 口コミの集約: 全ての診療科に対する口コミが1つのプロフィールに集約され、評価の総量が増える。
- デメリット:
- 特定の診療科での検索優位性低下: メインカテゴリ以外の診療科で検索された際に、上位表示されにくい可能性がある。例えば、メインカテゴリが「内科」の場合、「〇〇市 皮膚科」で検索しても表示されにくい。
- 情報過多による混乱: 多くの診療科の情報を1つに詰め込むと、患者さんが目的の情報を見つけにくい場合がある。
選択肢2: 診療科ごとに複数のGBPプロフィールを作成する
これは、クリニック内に複数の独立した診療科がある場合(例: 〇〇クリニック内科、〇〇クリニック皮膚科)に有効な戦略です。各診療科がそれぞれのGBPプロフィールを持ち、それぞれの専門性を強調します。
- メリット:
- 各診療科の検索優位性向上: 各診療科がそれぞれのキーワードで上位表示されやすくなる。例えば、「〇〇市 皮膚科」で検索した場合、皮膚科のプロフィールが直接表示される。
- 専門性の強調: 各診療科の専門治療や医師の情報を詳細に発信でき、患者さんの安心感を高める。
- ターゲット患者への最適化: 特定の診療科を求めている患者さんに、より的確な情報を提供できる。
- デメリット:
- 管理の手間とコスト: 複数のプロフィールをそれぞれ更新・管理する必要があり、運用コストが増大する。
- 口コミの分散: 各プロフィールに口コミが分散するため、個々のプロフィールの口コミ総量が少なくなる可能性がある。
- Googleガイドライン違反のリスク: Googleのガイドラインでは、同一ビジネスで複数のプロフィールを持つことを厳しく制限しています。原則として、独立した入口、独立したスタッフ、独立した電話番号など、明確に別のビジネスとして認識される必要があります[1]。
Googleのガイドラインでは、同一の所在地で複数のビジネスが運営されている場合でも、それぞれが明確に独立した事業体として機能している必要があります。入口が共通、スタッフが共通、電話番号が共通といった場合、重複とみなされ、プロフィールが停止されるリスクがあります。安易な複数プロフィール作成は避けるべきです。
課題: 地域で内科と消化器内科を標榜するクリニックが、内科では集患できているものの、専門性の高い消化器内科(胃カメラ・大腸カメラ)での集患が伸び悩んでいました。1つのGBPプロフィールで「内科」をメインカテゴリとして設定しており、「胃カメラ」などのキーワードで上位表示されにくい状況でした。
施策: Googleのガイドラインを厳守しつつ、クリニックのウェブサイト内に消化器内科専用のランディングページを充実させ、GBPの「サービス」項目で「胃カメラ」「大腸カメラ」などのキーワードを詳細に登録。さらに、GBPの投稿機能で消化器内科に関する専門的な情報を定期的に発信しました。また、口コミ収集の際に、消化器内科受診患者には「胃カメラの感想」など具体的な内容を促しました。
成果: 施策導入後6ヶ月で、「〇〇市 胃カメラ」での検索順位が平均8位から3位に改善。GBP経由のWebサイトアクセス数が月間50件から120件に増加し、消化器内科の新患数が月間平均15%増加しました。※個別の結果であり、成果を保証するものではありません
どちらの戦略を選ぶべきか?判断基準と優先順位

「1プロフィール」と「複数プロフィール」のどちらを選ぶべきかは、クリニックの状況、特に以下の要素を総合的に考慮して判断する必要があります。
判断基準1: 各診療科の独立性
Googleのガイドラインでは、複数のプロフィールを作成する場合、それぞれのビジネスが「独立した事業体」である必要があります。これは、物理的な入口、電話番号、スタッフ、待合室などが明確に分かれていることを指します。実態として1つのクリニックであるにもかかわらず、診療科名だけを変えて複数のプロフィールを作成することは、ガイドライン違反となり、ペナルティ(プロフィール停止など)のリスクが非常に高いです。
過去の支援事例では、安易に複数プロフィールを作成した結果、両方のプロフィールが停止され、復旧に数ヶ月を要したケースがあります。この間、MEOからの集患はゼロとなり、大きな機会損失となりました。
- 1プロフィールが推奨されるケース: ほとんどの複合診療科クリニックがこれに該当します。入口、受付、待合室、電話番号などが共通で、医師が複数の診療科を兼任している場合。
- 複数プロフィールが検討可能なケース: 非常に稀ですが、例えば、同じ建物内に「〇〇内科クリニック」と「〇〇皮膚科クリニック」がそれぞれ独立した法人格、独立した入口、独立した受付・待合室、独立した電話番号、独立した医師・スタッフで運営されている場合。この場合でも、Googleに「重複」と判断されないよう、細心の注意が必要です。
判断基準2: 各診療科の検索ニーズと競合状況
患者さんがどのようにクリニックを探しているか、そして競合クリニックがどのようなMEO対策を行っているかを分析することは重要です。
- 検索ニーズ: 特定の診療科(例: 美容皮膚科、AGA治療、専門性の高い外科手術など)は、患者さんが専門クリニックを強く求めて検索する傾向があります。このような場合、その診療科の専門性を強調できる方が有利です。
- 競合状況: 地域に競合する専門クリニックが多く、MEO対策を積極的に行っている場合、1つのプロフィールで戦うのは難しいことがあります。
判断基準3: 運用リソースと費用対効果(ROI)
GBPの運用には、情報の更新、口コミへの返信、投稿の作成など、継続的なリソースが必要です。複数のプロフィールを作成すれば、その分管理の手間も倍増します。
- ROI (Return On Investment)
- 投資収益率を意味し、投資した費用に対してどれだけの利益が得られたかを示す指標です。マーケティング施策の費用対効果を測る際に用いられます。
CPA(Cost Per Acquisition:顧客獲得単価)を考慮すると、管理コストが増える複数プロフィール戦略は、それに見合うだけの新規患者獲得が見込めなければ、費用対効果は低くなります。例えば、月間5万円のMEO運用費をかけて、CPAが5,000円で10人の新規患者を獲得できる場合と、月間10万円かけてCPAが10,000円で10人の新規患者しか獲得できない場合では、前者の方がROIが高いと言えます。
マーケティング戦略の策定時に、まずこれらの要素を分析することをお勧めしています。
| 項目 | 1プロフィール戦略 | 複数プロフィール戦略(※ガイドライン遵守必須) |
|---|---|---|
| 管理の手間 | 低い | 高い |
| ガイドライン遵守リスク | 低い | 高い |
| 特定診療科での検索優位性 | やや低い | 高い |
| 口コミの集約度 | 高い | 低い(分散) |
| 推奨されるケース | ほとんどの複合診療科クリニック | 独立性が非常に高い専門クリニック(稀) |
1プロフィール戦略におけるMEO最適化の具体的なアクションプラン
ほとんどの複合診療科クリニックでは、Googleのガイドライン遵守と運用効率の観点から、1プロフィール戦略が現実的かつ推奨されます。この場合でも、各診療科での集患を最大化するためのMEO対策は可能です。
アクションプラン1: メインカテゴリと追加カテゴリの最適化
GBPのカテゴリ設定は、検索結果に表示されるか否かを左右する最も重要な要素の一つです。メインカテゴリは、クリニックの最も主要な診療科、または最も集患したい診療科を設定します。追加カテゴリには、標榜している全ての診療科を登録します。
- すぐに実行できるアクション:
- GBP管理画面にログインし、「情報」タブからカテゴリを確認・編集します。
- メインカテゴリは最も検索ニーズが高い、または専門性をアピールしたい診療科に設定します。
- 追加カテゴリには、関連する全ての診療科を登録します。最大10個まで設定可能です。
アクションプラン2: 「サービス」項目と「説明」欄の充実
カテゴリだけでは伝えきれない各診療科の専門性や具体的な治療内容を、「サービス」項目と「ビジネスの説明」欄で詳細に記述します。特に「サービス」項目は、特定の治療法や症状で検索する患者さんにリーチする上で非常に有効です。
- すぐに実行できるアクション:
- 「サービス」項目に、各診療科で提供している具体的な治療や検査(例: 胃カメラ、大腸カメラ、アトピー性皮膚炎治療、AGA治療など)を網羅的に登録します。
- 「ビジネスの説明」欄には、クリニック全体のコンセプトに加え、各診療科の専門性や特徴、医師の専門医資格などを具体的に記載します。キーワードを自然に盛り込むことを意識しましょう。
アクションプラン3: GBP投稿機能の活用
GBPの投稿機能は、クリニックからのお知らせやイベント、診療内容の紹介などを発信できるブログのようなものです。これを活用し、各診療科に関する専門的な情報を定期的に発信することで、Googleに「活発なビジネス」と認識されやすくなり、MEO評価の向上に繋がります。
- すぐに実行できるアクション:
- 週に1回程度の頻度で、各診療科の専門的な内容(例:「花粉症対策について内科医が解説」「皮膚科でのニキビ治療の選択肢」など)を投稿します。
- 投稿には関連するキーワードを盛り込み、クリニックのWebサイトの該当ページへのリンクを設置します。
アクションプラン4: 口コミの獲得と返信
口コミはMEOにおいて非常に重要な要素です。口コミの数、評価、内容、そしてクリニックからの返信は、Googleの評価だけでなく、患者さんの来院意欲にも直結します。特に、各診療科に関する具体的な口コミを増やすことが重要です。
-
すぐに実行できるアクション:
- 患者さんに口コミ投稿を依頼する仕組みを導入します(院内掲示、Webサイト、診察後の声かけなど)。
- 全ての口コミに対し、丁寧かつ迅速に返信します。特にネガティブな口コミには真摯に対応し、改善への姿勢を示すことが重要です。
- 返信する際、診療科名や具体的な治療内容を盛り込むことで、Googleの評価を高める効果も期待できます。
課題: 小児科・アレルギー科を標榜するクリニックで、GBPの口コミ数が少なく、アレルギー科の専門性が十分に伝わっていませんでした。「小児科」の口コミはあったものの、「アレルギー」に関する具体的な言及が不足していました。
施策: 診察後にアレルギー疾患で来院された患者さんに対し、問診票のQRコードや院内掲示を通じて、GBPへの口コミ投稿を積極的に依頼しました。特に「アレルギー治療の感想」や「アレルギー専門医の診察」について言及してもらえるよう、具体的な促しを行いました。また、全ての口コミに院長が丁寧に返信し、アレルギーに関する相談には専門的な知見を交えて回答しました。
成果: 3ヶ月でアレルギー関連の口コミが20件増加し、全体評価も4.2から4.6に向上しました。結果として、「〇〇市 アレルギー科」での検索順位が平均7位から2位に改善。アレルギー科の新患予約が月間平均で25%増加しました。クライアント様の声として、『口コミを導入してから予約の問い合わせが目に見えて増えた』というフィードバックをいただいています。※個別の結果であり、成果を保証するものではありません
医療広告ガイドラインとGBP運用における注意点

医療機関がGBPを運用する上で、医療広告ガイドラインの遵守は絶対条件です。不適切な表現や誇大広告は、行政指導や罰則の対象となるだけでなく、患者さんからの信頼を失うことにも繋がります[2]。
医療広告ガイドラインの主要なポイント
- 誇大広告の禁止: 「最高の治療」「100%治る」といった断定的な表現や、優良誤認を招く表現は禁止です。
- 客観的な事実に基づかない情報の禁止: 科学的根拠のない治療効果の強調は避けるべきです。
- ビフォーアフター写真の原則禁止: 治療効果を保証するような写真の掲載は原則禁止です。ただし、限定解除要件を満たせば掲載可能な場合もありますが、慎重な判断が必要です。
- 患者さんの体験談の原則禁止: 個人的な感想や体験談は、治療効果を保証するものではないため、原則禁止です。口コミ機能は患者さんが自発的に投稿するものなので問題ありませんが、クリニック側が誘導する際に内容を指示することは避けるべきです。
GBPの「投稿」機能や「ビジネスの説明」欄、口コミへの返信など、全ての情報発信においてガイドラインを意識することが重要です。特に、口コミへの返信では、患者さんの症状や治療内容に具体的に触れすぎないよう注意し、一般的な感謝の言葉やクリニックの診療方針を伝えるに留めるのが安全です。
GBPは「広告」とみなされる情報媒体です。投稿内容、写真、説明文、口コミへの返信など、全ての情報発信が医療広告ガイドラインの対象となります。特に、治療効果を断定する表現や、他の医療機関と比較して優れていると誤認させる表現は厳禁です。常に客観的な事実に基づき、患者さんが正確な情報を得られるよう努めましょう。
まとめ
複数の診療科を持つクリニックのGoogleビジネスプロフィール設定において、Googleのガイドライン遵守と運用効率を考慮すると、ほとんどのケースで「1プロフィール戦略」が最適解となります。安易な「複数プロフィール戦略」は、ガイドライン違反によるペナルティのリスクが高く、推奨されません。
1つのプロフィールであっても、メインカテゴリと追加カテゴリの最適化、「サービス」項目と「説明」欄の充実、GBP投稿機能の積極的な活用、そして口コミの獲得と丁寧な返信といったMEO対策を徹底することで、各診療科での検索優位性を高め、地域からの新規患者獲得を最大化することが可能です。
重要なのは、患者さんが求める情報を的確に、かつ医療広告ガイドラインを遵守した形で提供し続けることです。継続的な運用と改善を通じて、クリニックのオンラインプレゼンスを強化し、地域医療への貢献を目指しましょう。
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