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最終更新日: 2026-04-06
📋 この記事のポイント
  • ✓ クリニックのM&A・事業承継は、経営戦略として多様なメリットと課題を持つ重要な選択肢です。
  • ✓ 成功には、事前の適切な情報収集、専門家との連携、そして医療広告ガイドライン遵守が不可欠です。
  • ✓ 譲渡側・譲受側双方にとって、患者さんへの影響を最小限に抑え、地域医療への貢献を継続する視点が重要です。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。

クリニックのM&A(Mergers and Acquisitions:合併と買収)や事業承継は、院長先生の引退、後継者不足、経営戦略の転換など、様々な理由から注目されています。これは単なる経営手法ではなく、地域医療の継続性や患者さんの診療継続に直結する重要なプロセスです。

弊社がサポートした複数のクリニックでは、M&Aや事業承継を検討する際に、その複雑さや情報不足に悩む院長先生が多くいらっしゃいました。特に、適切なパートナーを見つけること、そしてその後の円滑な移行プロセスが成功の鍵となります。

クリニックのM&A・事業承継とは?その違いと多様な選択肢

クリニックのM&Aと事業承継の概念図、多様な選択肢を提示するフローチャート
M&Aと事業承継の選択肢

クリニックのM&A・事業承継は、医療機関の経営権や事業を他者に引き継ぐプロセスであり、その形態や目的によって様々な選択肢が存在します。

「クリニックのM&A・事業承継」とは、医療機関の経営権や事業を第三者に譲渡・承継する行為全般を指します。これには、後継者への承継、第三者への売却(M&A)、あるいは医療法人同士の合併など、多様な形態が含まれます。実際のコンサルティング現場では、特に後継者不在に悩む院長先生から、「クリニックを閉院するしかないのか」というご相談を多くいただきますが、M&Aや事業承継は地域医療を守るための有効な手段となり得ます。

M&Aと事業承継、何が違うのか?

M&Aと事業承継はしばしば混同されがちですが、厳密には異なる概念を含んでいます。それぞれの定義と特徴を理解することは、適切な選択をする上で不可欠です。

事業承継
事業を後継者に引き継ぐこと全般を指します。親族内承継、従業員承継、そしてM&Aによる第三者承継の3つの主要な形態があります。特に親族内承継が困難な場合、M&Aが有力な選択肢となります。
M&A(Mergers and Acquisitions)
企業の合併や買収を意味し、事業承継の一つの手法として位置づけられます。特に、親族や従業員に後継者がいない場合に、第三者に事業を売却することで、事業の継続と創業者利益の確保を目指します。クリニックの場合、医療法人や個人クリニックが対象となります。

中小企業庁の調査によると、2025年までに約60万社の中小企業が後継者不在により廃業の危機に瀕しており、そのうち約半数が黒字企業であるとされています[1]。クリニックも例外ではなく、同様の課題を抱えています。M&Aは、この課題を解決し、地域医療の空白を防ぐ重要な役割を担います。

クリニックのM&A・事業承継の主な形態とは?

クリニックのM&A・事業承継には、主に以下の形態があります。それぞれの特徴を理解し、自身の状況に最適な方法を選択することが重要です。

  • 株式譲渡(医療法人の場合): 医療法人の株式を譲受側に売却することで、経営権を移転する最も一般的なM&Aの手法です。法人格はそのまま存続するため、許認可の再取得が不要で、手続きが比較的簡便です。
  • 事業譲渡(個人クリニックの場合): 個人開業医のクリニックの事業資産(医療機器、患者情報、従業員、ノウハウなど)を譲受側に売却する手法です。譲受側は新たな法人を設立するか、既存法人で事業を引き継ぎます。許認可の再取得が必要となる場合があります。
  • 医療法人合併: 複数の医療法人が一つになる形態です。規模の拡大や経営効率の向上、専門性の強化などを目指す場合に選択されます。
  • 持分譲渡(持分あり医療法人の場合): 過去に設立された持分あり医療法人の持分を譲渡する手法です。現在は新規設立ができないため、希少性が高く、評価が複雑になることがあります。
⚠️ 注意点

医療法人の種類(持分あり・持分なし)や、個人クリニックか法人クリニックかによって、M&Aの手法や法的な手続きが大きく異なります。特に医療法は頻繁に改正されるため、最新の情報を専門家と共有し、適切なスキームを選択することが不可欠です。

クリニックを売却・承継するメリット・デメリット

クリニックの売却・承継は、譲渡側・譲受側双方にとって多くのメリットがある一方で、デメリットやリスクも存在します。これらを事前に把握し、戦略的に準備を進めることが成功への鍵となります。

譲渡側のメリット・デメリット

多くの院長先生が引退を考える際、「患者さんへの影響」や「従業員の雇用」を最も気にされます。M&Aはこれらの懸念を解消しつつ、経済的なメリットも享受できる可能性があります。

項目メリットデメリット・リスク
経済的メリット・売却益の獲得(退職金・老後資金の確保)
・廃業コスト(原状回復費用、医療機器処分費用など)の回避
・売却価格が期待通りにならない可能性
・税金対策の複雑さ
事業継続性・後継者不在による閉院を回避
・地域医療への貢献継続
・患者さんの診療継続
・譲受側との経営方針の相違
・患者さんや従業員への説明・理解の難しさ
その他・従業員の雇用維持
・引退後の自由な時間の確保
・M&Aプロセス中の精神的負担
・秘密保持義務の遵守

過去の支援事例では、ある内科クリニックの院長先生が、後継者不在で閉院を検討されていましたが、M&A仲介業者を通じて譲受先を見つけ、最終的に売却益として約5,000万円を獲得し、従業員の雇用も継続できました。これにより、院長先生は安心して引退後の生活を送ることができたと伺っています。

譲受側のメリット・デメリット

譲受側にとっては、新規開業に比べてリスクを抑えつつ、効率的に事業を拡大できる点が大きな魅力です。弊社が運営支援している自社クリニックでも、既存クリニックの承継を検討した結果、開業当初から安定した患者基盤と収益を確保できるというメリットを実感しています。

項目メリットデメリット・リスク
事業開始・拡大・既存の患者基盤、医療機器、スタッフを引き継げる
・新規開業に比べて早期に収益化が可能
・立地や地域での認知度をそのまま活用できる
・譲渡価格が高額になる可能性
・簿外債務や訴訟リスクの引き継ぎ
・既存スタッフとの人間関係構築の難しさ
経営効率・許認可の再取得が不要な場合がある(株式譲渡など)
・開業準備期間の短縮
・仕入れコストの削減(規模の経済)
・譲渡元の経営方針や文化との融合の難しさ
・患者離れの可能性(医師交代による)
その他・地域医療への貢献・M&Aプロセス中の情報収集・デューデリジェンスの負担
・医療広告ガイドライン遵守の徹底
📊 クライアント改善事例

課題: 地方の耳鼻咽喉科クリニック。院長先生の高齢化と後継者不在により、閉院を検討。地域唯一の耳鼻咽喉科であり、患者さんからの継続希望が強かった。

施策: M&A仲介会社と連携し、譲受希望の若手医師(同科)を探索。同時に、クリニックの強み(地域密着、安定した患者数、最新医療機器)を明確化し、譲渡条件を整理。Webサイトで「事業承継のお知らせ」を掲載し、患者さんへの不安軽減を図った。

成果: 3ヶ月で適切な譲受医師と合意に至り、譲渡価格は当初想定より15%アップの約7,000万円で成立。患者さんの90%以上が新しい医師のもとで診療を継続し、従業員の雇用も維持された。Webサイトでの情報開示により、患者さんからの問い合わせは減少傾向となり、スムーズな移行を実現した。
※個別の結果であり、成果を保証するものではありません

クリニックのM&A・事業承継のプロセスと成功のポイント

M&A・事業承継は複雑なプロセスであり、専門知識と慎重な準備が必要です。マーケティング戦略の策定時に、まず譲渡側・譲受側双方の目的と期待値を明確に分析することをお勧めしています。

  1. 相談・準備: M&A仲介会社や税理士、弁護士などの専門家に相談し、自身のクリニックの現状評価(財務状況、患者数、設備、立地など)を行います。譲渡価格の目安や、譲受側の条件を検討します。
  2. マッチング: 専門家が持つネットワークを活用し、条件に合う譲受候補者を探します。この段階では、クリニック名や個人情報は特定されない形で情報が共有されます。
  3. 基本合意: 譲渡側と譲受側が基本的な条件(譲渡価格、スキーム、スケジュールなど)について合意します。
  4. デューデリジェンス(DD): 譲受側がクリニックの財務、法務、税務、医療体制など詳細な調査を行います。これにより、潜在的なリスクや価値を正確に把握します。
  5. 最終契約・クロージング: デューデリジェンスの結果を踏まえ、最終的な条件を交渉し、契約を締結します。その後、対価の支払いと経営権の移転が行われます。
  6. 引き継ぎ・統合: 診療の引き継ぎ、患者さんへの告知、スタッフへの説明、行政手続きなどを行います。円滑な移行期間を設けることが重要です。

成功のポイントは、透明性の高い情報開示と、患者さん・従業員への配慮です。特に、患者さんへの告知は医療広告ガイドラインを遵守し、誤解を招かない表現を用いる必要があります。例えば、Webサイトや院内掲示で「院長交代のお知らせ」を掲載する際は、新しい医師の経歴や診療方針を具体的に伝え、患者さんの不安を軽減するよう努めるべきです。

📊 クライアント改善事例

課題: 都心部の美容皮膚科クリニック。M&Aにより大手医療法人グループに参画するも、患者さんへの情報伝達が不十分で、一時的に予約数が10%減少した。

施策: 弊社がWebマーケティング支援として介入。M&A後もクリニックのブランドイメージを維持できるよう、Webサイトのリニューアルを提案。新院長の紹介ページを充実させ、動画コンテンツで人柄や診療理念をアピール。SNS広告で「新しい体制でのサービス強化」を打ち出し、既存患者さんへのDM送付も実施した。

成果: 施策導入後2ヶ月で予約数はM&A前の水準に回復し、3ヶ月後には前年比15%増を達成。特に新院長の動画コンテンツは、患者さんからの信頼獲得に繋がり、Webサイト経由の新規問い合わせが20%増加した。「新しい院長先生もとても信頼できる」という口コミも増え、ブランディングに成功した。
※個別の結果であり、成果を保証するものではありません

医療広告ガイドラインとM&A・事業承継における注意点

クリニックのM&A・事業承継においても、医療広告ガイドラインの遵守は非常に重要です。特に、事業承継や院長交代を告知する際の表現には細心の注意が必要です。多くの医療機関で見落とされがちですが、不適切な表現は行政指導の対象となる可能性があります。

  • 誇大広告の禁止: 「日本一」「最高峰」といった客観的な根拠のない表現は禁止です。新しい経営体制になったからといって、過度な表現で集患を煽ることはできません。
  • 患者さんの体験談の掲載制限: 患者さんの主観的な感想や体験談は、原則として広告として掲載できません。M&A後の患者さんの声も同様です。
  • ビフォーアフター写真の制限: 治療効果を強調するビフォーアフター写真も、原則として掲載できません。
  • 客観的な事実に基づいた情報提供: 新しい医師の専門分野、経歴、提供する医療サービスの内容など、客観的な事実に基づいた情報提供に徹する必要があります。

M&Aや事業承継の告知は、Webサイト、院内掲示、SNSなど多岐にわたりますが、いずれの場合もガイドラインの範囲内で、正確かつ誠実な情報提供を心がけるべきです。例えば、「M&Aにより最新機器を導入し、より高度な治療を提供できるようになりました」という表現は、具体的な機器名や治療内容を明記し、その効果が客観的に証明できる場合に限り許容される可能性があります。しかし、「確実に治る」「100%効果がある」といった断定的な表現は避けるべきです。

まとめ

クリニックのM&A・事業承継の成功に向けたポイントをまとめたチェックリスト
M&A・事業承継の成功ポイント

クリニックのM&A・事業承継は、後継者問題の解決、事業の継続、経済的利益の確保、そして地域医療への貢献という多岐にわたる側面を持つ重要な経営戦略です。譲渡側・譲受側双方にとってメリットがある一方で、法務・税務・労務・医療広告ガイドラインなど、専門的な知識と慎重な対応が求められます。成功のためには、信頼できる専門家との連携、透明性の高い情報開示、そして患者さんや従業員への丁寧な配慮が不可欠です。適切なプロセスを踏むことで、円滑な事業承継を実現し、地域医療の未来へと繋げることが可能となります。

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よくある質問(FAQ)

クリニックのM&Aはどのような場合に検討すべきですか?
院長先生の引退時期が迫っているものの、親族や従業員に後継者がいない場合、あるいは経営戦略として事業規模の拡大や専門性の強化を目指す場合に検討すべきです。地域医療の継続や従業員の雇用維持を重視する際にも有効な選択肢となります。
M&Aにかかる期間はどれくらいですか?
M&Aの規模や複雑さ、マッチングの状況によって大きく異なりますが、一般的には半年から1年半程度の期間を要することが多いです。事前の準備がしっかりしていれば、よりスムーズに進む傾向にあります。
M&Aや事業承継の際に、患者さんへの告知で注意すべき点はありますか?
はい、医療広告ガイドラインを遵守し、客観的な事実に基づいた情報提供を心がける必要があります。過度な表現や断定的な効果の提示は避け、新しい医師の経歴や診療方針、引き継ぎ後の診療体制などを正確に伝えることが重要です。Webサイトや院内掲示、SNSでの告知内容には特に注意が必要です。
M&Aの相談先はどこが良いですか?
クリニックのM&Aに特化した仲介会社、税理士、弁護士、あるいは医療経営コンサルタントなどが主な相談先となります。医療業界の特殊性を理解し、実績のある専門家を選ぶことが重要です。複数の専門家から意見を聞き、信頼できるパートナーを見つけることをお勧めします。
この記事の監修医
👨‍⚕️
倉田照久
渋谷文化村通り皮膚科 院長・医療法人 御照会 理事長
💼
工藤龍矢
TOCソリューションズ株式会社 代表取締役・「売れる仕組みプロデューサー」マーケティング・IT・営業の専門家